ジョハリの窓で、客観的な自分を知ることで、自己理解(自己覚知)と相互理解を深めることができます。
ジョハリの窓とは
自分が知っている「自分の特徴」、他人が知っている「自分の特徴」の一致・不一致を『窓のように見える4つの枠』に分類することで自己理解のズレに気づく、心理学ではよく使われているフレームワーク(手法)です。また、そのズレを一致させていくことで他人とのコミュニケーションを円滑にできると考えられています。
- 「開放の窓」 自分も他人も知っている自己
- 「盲点の窓」 自分は気がついていないが、他人は知っている自己
- 「秘密の窓」 自分は知っているが、他人は気づいていない自己
- 「未知の窓」 誰からもまだ知られていない自己
Q. なぜ「ジョハリ」の窓? 語源は? 誰が作ったの?
サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリ・インガム (Harry Ingham) が発表した「対人関係における気づきのグラフモデル」が、後に二人の名前を組み合わせて「ジョハリの窓」と呼ばれるようになったようです。
※引用元:Wikipedia「ジョハリの窓」
ジョハリの窓の目的と活用方法
ジョハリの窓は、主に自己理解を深める、他者理解を深める、相互理解を深める目的として利用されています。その特徴から、就活のおける自己分析や企業の社員教育・研修としても多く利用されています。
主な活用方法としては、「盲点の窓」や「秘密の窓」に分類された自分と他人の認識のズレを理解して、そのズレの原因を探ってやり、『他人から、○○と思われているかもしれない』『自分には、そういう一面があるかもしれない』と他人の認識を受け入れてあげることで、「開放の窓」の領域を広げてあげます。
それにより、認識のズレが軽減されることで周りとのコミュニケーションが円滑になり、対人関係によるストレスも軽減されることになります。
このように、ジョハリの窓を使うことで効果的な他己分析(他人の意見を取り入れる自己分析)ができるため、自分では気づかなかった新しい自己の発見に繋がります。
もちろん、それだけでなく、「開放の窓」や「未知の窓」から『自他ともに認める強みをどうやって活かそう』『自他ともに認める弱みのどうやって対策しよう』といった、明確になった強み弱みと向き合って今後に活かすことを目的とした活用方法もあります。
ジョハリの窓のメリット・デメリット
ジョハリの窓を使ったワークショップによるメリットに注目されがちですが、準備不足や進行者(ファシリテーター)の力不足によっては、様々なデメリットを生むことがあります。以下にメリット・デメリットをまとめてみました。
デメリット部分を見ると実施することに不安になると思いますが、デメリットを十分に理解して実施すればそれほど心配することではなく、それ以上にメリットは大きいので、過度に恐れずにジョハリの窓ワークショップにチャレンジしてみてください。
メリット
- 強みの再確認で自信が持てる(開放の窓)
- 新たな自分を発見できる(盲点の窓)
- メンバーに自分を知ってもらえる(秘密の窓)
- 弱みの再確認で対策できる(未知の窓)
- 実施したメンバーのことを理解できる
- 互いを知りメンバーとのコミュニケーションが円滑に
- 互いを知りメンバーに対するストレスが軽減
- お互いの強み弱みを考慮した活動ができる
デメリット
- メンバーの理解が浅いことで強み弱みを誤解する
- メンバーの気遣った評価で強み弱みを誤解する
- ごく少数の指摘を過大評価してしまい誤解する
- 自分が思っていた評価がされずに自信を失う
- 聞きたくなかった評価を聞いて傷つく
- 知られたく無かった性格(資質)がメンバーに開示される
- ネガティブな評価をした人に負の感情が生まれる
- 過大評価や誤解により今後の活動で悪影響が生じる
ジョハリの窓のやり方(実施方法)
1. 知り合いを集めて、紙とペンで「ジョハリの窓」
事前準備
- 下図のような、ジョハリの窓の実施シートを準備します。(本ページよりダウンロード可能)
- 自由記入版を利用する場合は、下図の赤枠部分に10~20種類の性格や資質(優しい、几帳面、頑固など)を記入します。
ジョハリの窓 項目例
①頭が良い、②発想力がある、③段取り力がある、④向上心がある、⑤行動よくがある、⑥表情が豊か、⑦話し上手、⑧聞き上手、⑨親切、⑩リーダー資質がある、⑪空気が読める、⑫情報通、⑬根性がある、⑭責任感がある、⑮プライドが高い、⑯自信家、⑰頑固、⑱真面目、⑲慎重
なお、上記は仲間同士でやる場合の項目例となりますが、まだお互いをよく知らない場合は以下のような印象を中心とした項目がおすすめです。
①頭が良さそう、②センス良さそう、③真面目そう、④意志が強そう、⑤前向きに考えそう、⑥情熱がありそう、⑦行動力がありそう、⑧社交性がありそう、⑨信用できそう、⑩人に慕われそう、⑪優しそう、⑫常識がありそう、⑬プライドが高そう、⑭落ち着きがありそう、⑮頑固そう、⑯根性がありそう、⑰細かそう
※注意)これらの項目例は適性診断ポテクトの50の資質からバランス良く集約抜粋した当サイトで考案したものです。他のサイトでも同様の項目例が紹介されていますが、これらがジョハリの窓で必ず使わないといけない項目ではありません。
実施時に用意するもの
- ジョハリの窓の実施シート×人数分
- 大きめの付箋(またはメモ用紙)×人数分 (無くてもできるが、あると便利)
- 筆記用具(できれば同じ種類もの)×人数分
ジョハリの窓ワークショップのやり方(実施方法)
- 知人を4~8人程度集め、それぞれ実施シート(と大きめ付箋)と筆記用具を準備します。
- 自分の性格だと思う要素を「あらかじめ記入しておいた性格や資質①~⑲」から複数選び、その番号を紙(付箋)に書き出します。
- 相手の性格だと思う要素を同じく紙(別の付箋)に書き、その人に渡します。(これを人数分繰り返す)
- 全員分書き終わると、手元に自分と相手の数だけの紙(付箋)が揃います。
- 自分が書いた番号と相手が書いた番号が重なっている場合、その番号を(A)開放の窓に書きます。
- 相手が書いて自分が書いてない番号を(B)盲点の窓に書きます。
- 自分が書いて相手が書いてない番号を(C)秘密の窓に書きます。
- 誰も書いてない番号を(D)未知の窓に書きます。
- 書き出された結果を確認することで、自分と他人の認識の違いを確認できます。
- 最後に、参加者全員でディスカッションして結果に対する理解を深めましょう。
実施時の注意点
- 1つのグループの人数が多い場合や、1人が沢山の性格(資質)を選んでしまうことで、(D)未知の窓に1つも書き込めずに(B)盲点の窓や(A)開放の窓が多くなってしまうことがあります。それにより間違った自己理解に陥らないように、番号を記入する際に番号の隣に選ばれた回数(人数)を記入(例: ⑥×2、⑫×3)しておきます。
実施人数が多い場合は、1人が沢山選べないように(選択していいのは項目数の半分までといった感じで)あらかじめ選択数の上限を設けておくのもいいかもしれません。 - (B)盲点の窓や(A)開放の窓が多くなってしまった場合、選ばれた回数が1回だけの場合は「ほとんどの人からは選ばれていない」と理解していただくことをおすすめします。たった1票を過度に受け取ってしまうと、理解が深まるどころか反って混乱してしまうことにつながります。
偏りが大きい場合には、メンバーから1回だけ選ばれて(B)盲点の窓に入った性格(資質)を消して、(D)未知の窓に移動するのもいいかもしれません。同じようにメンバーから1回だけ選ばれて(A)開放の窓に入った性格(資質)を(C)秘密の窓に移動します。 - ネガティブな性格(資質)を誰から指摘されたか分かることで傷つくことを避けたい場合は、全員同じペンを使って記入する、番号記入式ではなくチェック式にする、付箋を回収後にシャッフルしてから本人に手渡す、本人に紙を渡さすに進行者が読み上げるなど、実施方法を工夫してみてください。ビジネスにおいては、お互いの弱みをしっかり言い合える関係も大事だとは思いますが……。
- 最後に、ジョハリの窓ワークショップ実施のメリットが大きくデメリットが小さくなるように、進行者(ファシリテーター)がポジティブな言葉がけや柔軟な受け取り方のヒントなど、適時フォローしながら実施することが大切になってきます。
一般的なジョハリの窓を実施できるシートのダウンロード
以下よりジョハリの窓を実施するためのシートをダウンロードできます。(無料&登録不要)
※可能でしたら、このページをSNS等でシェアしていただけると嬉しいです。
- ジョハリの窓(資質分析版).pdf
- あらかじめ資質や性格を記入してあるシートです。
- ジョハリの窓(第一印象版).pdf
- 初対面のメンバーでも実施できるシートです。
- ジョハリの窓(自由記入版).pdf
- 資質や性格を自由に記入できるシートです。
2. 知り合いを集めて、Webアプリで「ジョハリの窓」診断
ジョハリの窓がパソコンで実施できるWebアプリです。(株式会社シャインとKazunori Hashikuchi氏による共同開発)
紙やペン、面倒な準備も不要。パソコン(またはスマホ)1台と4人以上の参加者を集めば、すぐに診断開始できます。
もし、みんなで集まれない場合は、Zoomなどのビデオ会議と画面共有を上手に使って実施することもできます。
3. ひとりで、適性検査で「ジョハリの窓」診断
みんなでやるジョハリの窓の課題
ジョハリの窓を知り合いを集めて実施した場合、以下のような課題があります。
- 複数人集める必要があるため、時間と場所の調整が必要。
- 性格や資質などをあらかじめ主催者が考えることになるため、検査項目に漏れや偏りがある。
- 関係の深さや、相手の観察力によって、指摘内容が異なるため、分析結果にバラツキがある。
- 知り合いの悪い部分を指摘しづらく、本音が聞き出せないため、表面上の分析しかできない。
適性検査でジョハリの窓を実施できるメリット
知り合いを集めて実施するジョハリの窓の課題を、適性検査「ポテクト」を実施していただくことで解決できます。
- ひとりでも診断実施できるため、簡単に主観的な自分と客観的な自分を知ることができる。
- 幅広い資質50種類の項目を使用して分析できるため、検査項目に漏れや偏りがない。
- システムに蓄積されたデータによる客観的な分析結果のため、指摘内容にバラツキがない。
- システムによる遠慮のない指摘のため、人からは指摘されづらい深い部分まで診断分析できる。
適性検査「ポテクト」のジョハリの窓形式の分析結果
ジョハリの窓を活用した社員研修(ビジネス活用)
ジョハリの窓は、企業の社員研修・社員教育といったビジネスの場面でも活用できます。
社員同士の認識のズレや、お互いの個性を深く理解することで、仕事でのコミュニケーションがより円滑になります。
当方の適性検査「ポテクト」と専用ワークシートを使うことでジョハリの窓を活用した各種社内研修が簡単に実現できます。
これまでに、多くの大手企業の新人研修やリーダー研修、部内の多面評価等でポテクトを導入いただけております。
また、提携講師によるポテクトを活用した社員研修プランのご紹介も可能です。お気軽にご相談ください。
おすすめ本
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