自己評価と客観評価がズレている人とは?

今回は、自己評価と客観評価がズレている人についてお話ししたいと思います。

自己評価とは、自分自身の能力や成果、行動などに対して自分で判断することです。客観評価とは、他人や組織が自分に対して行う評価です。

自己評価と客観評価は必ずしも一致するとは限りません。実際には、自己評価が客観評価よりも高い場合や低い場合があります。

Case. 自己評価が客観評価よりも高い

自己評価が客観評価よりも高い場合は、ダニング=クルーガー効果と呼ばれる心理現象が起こっている可能性があります。これは、能力の低い人が他人の能力を認識できずに、自身の方が優れていると考え、正しい自己評価ができない非合理的な心理現象です。

ダニング=クルーガー効果とは

能力や専門性や経験の低い人は自分の能力を過大評価する傾向がある、という認知バイアスについての仮説である。また、能力の高い者が自分の能力を過少評価する傾向がある、という逆の効果を定義に含めることもある。

1999年にこの効果を示したコーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの説明によると、このバイアスは、能力が低い人々の内的な(=自身についての)錯覚と、能力の高い人々の外的な(=他人に対する)錯覚の結果として生じる。つまり、能力の足りない人々による誤評価は、自身についての誤り(自身を過大評価する)から生じており、能力の高い人々による誤評価は他人についての誤り(他人を過大評価する)から生じている。この効果は、優越の錯覚という認知バイアスに関連しており、自身の能力の欠如を認識できないことによって生じる。メタ認知についての自己認識がなければ、人々は自分の適格度を客観的に評価することができない。

引用元:Wikipedia

Case. 自己評価が客観評価よりも低い

逆に、自己評価が客観評価よりも低い場合は、インポスター症候群と呼ばれる心理現象が起こっている可能性があります。これは、能力の高い人が自分の成果を運や偶然に帰すなどして、自身の能力を過小評価し、不安や劣等感を抱く心理現象です。

インポスター症候群とは

インポスター症候群(インポスターしょうこうぐん、英: Impostor syndrome、インポスター・シンドローム)は、自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向であり、一般的には、社会的に成功した人たちの中に多く見られる。ペテン師症候群(ペテンししょうこうぐん)、もしくはインポスター体験(インポスターたいけん、impostor experience)、詐欺師症候群(さぎししょうこうぐん、fraud syndrome)とも呼ばれる。

この言葉は、1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって命名された。この症候群にある人たちは、能力があることを示す外的な証拠があるにもかかわらず、自分は詐欺師であり、成功に値しないという考えを持つ。自分の成功は、単なる幸運やタイミングのせいとして見過ごされるか、実際より能力があると他人を信じ込ませることで手に入れたものだと考える。インポスター症候群は、特に社会的に成功した女性に多いとする研究もある。

引用元:Wikipedia

このように、自己評価と客観評価がズレている人は、仕事や人間関係において様々な問題を引き起こす可能性があります。

自己評価と客観評価のズレている人が会社に与える影響

早期離職の傾向がある

自己評価と客観評価がズレている人は、早期離職の傾向があると言われています。(これは統計データではありませんが、人事担当者からのリアルな声を参考にしています。また、自己評価と客観評価がズレている人が、離職につながる原因である「仕事で評価されていないと感じている」「ストレスを感じやすい」との傾向は、統計データで相関があると証明されています)

Case. 自己評価が客観評価よりも高い

例えば、自己評価が高すぎる人は、自分の能力や成果に見合った報酬や待遇を得られないと感じたり、上司や同僚からのフィードバックや指導を受け入れられなかったりすることで不満を抱きやすくなります。また、自分の方が優秀だと思っているために、チームワークや協調性に欠けたり、他人への敬意や感謝を忘れたりすることで人間関係を悪化させる可能性もあります。

Case. 自己評価が客観評価よりも低い

逆に、自己評価が低すぎる人は、自分の能力や成果に対して過度な謙遜や否定をしたり、周囲からの称賛や信頼を素直に受け止められなかったりすることで自信を失ってしまいます。また、自分は不適格だと思っているために、チャレンジや責任から逃げたり、失敗や批判を恐れたりすることで成長機会を逃してしまう可能性もあります。

このように、自己評価と客観評価がズレている人は、仕事へのモチベーションや満足度が低下しやすくなります。その結果、職場への帰属意識や忠誠心が薄れたり、他の職場への転職を考えたりすることで早期離職のリスクが高まります。

不平不満が多く組織のモチベーションを低下させる

早期離職しなかったとしても、自己評価と客観評価がズレている人は、不平不満が多く組織のモチベーションを低下させる傾向があります。

Case. 自己評価が高すぎる人

例えば、自己評価が高すぎる人は、上司や同僚からのアドバイスや批判を素直に受け入れられずに反発したり無視したりすることでコミュニケーションの障害になります。また、他人の意見や提案を軽視したり否定したりすることでイノベーションの阻害になります。

Case. 自己評価が低すぎる人

逆に、自己評価が低すぎる人は、上司や同僚からの賞賛や信頼を疑ったり拒否したりすることで関係性の損傷になります。また、他人から求められている以上のパフォーマンスを発揮しなければならないと思って過労したりストレスを溜め込んだりすることで健康被害になります。

このように、自己評価と客観評価がズレている人は、不平不満を口にしたり行動に表したりすることで周囲の雰囲気を悪くしたり組織全体の生産性や創造性を低下させたりします。

自己評価と客観評価のズレが生じる原因

妥当な評価が行われていない

自分を妥当に評価しない、周囲から妥当に評価されない状態が続くことで、自己評価に偏りが生じます。その原因には以下のようなものがあげられます。

  • 自己分析の不足による、自己理解の欠如
  • 経験不足による、自己理解に気づく機会の欠如
  • 狭く限定された環境下における偏った評価
  • 周囲からの理不尽な評価による自己評価の低下

自己評価が偏った状態で他人と比較する

自己評価が偏った状態で他人と比較することで、自己評価と客観評価のズレを招きます。その原因には以下のようなものがあげられます。

  • 他人の能力や成果に対して劣等感や嫉妬を抱く
  • 他人の能力や成果に対して優越感や軽視を抱く
  • 自分の能力や成果が認められていないと思い込む
  • 自分の能力や成果が過大評価されていると思い込む

これらの問題は、自己評価を過大または過小にするだけでなく、自己肯定感や自己効力感を低下させたり、他人への敬意や協力性を失ったりすることにもつながります。

自己評価と客観評価のズレを防ぐ方法

メタ認知能力を高める

メタ認知能力とは、「 自分が何を知っていて何を知らないか 」、「 自分がどう学んでどう考えてどう行動しているか 」、「 自分の学習・思考・行動プロセスを改善する方法 」など を把握・管理・制御する能力です。

メタ認知能力を高めることで、「 自分は何を目指して何を達成したか 」、「 自分はどんな強みや弱みを持っているか 」、「 自分はどんなフィードバックや支援を必要としているか 」など を正しく認識することができます。

それにより、自己評価と客観評価のズレを防ぐことができます。

メタ認知能力を高める方法としては、以下のようなものがあります。

  • 自分の学習・思考・行動プロセスを振り返る
  • 自分の成果や成長を客観的に評価する
  • 自分の強みや弱みを認識する
  • 他人からのフィードバックや支援を求める

適性検査で自己評価と客観評価のズレを把握する

自己評価と客観評価のズレを防ぐ方法として、適性検査の活用があげられます。適性検査でデータに基づいた客観評価を知ることで、自己理解とのズレに気づくことができます。

また、ズレに気づきやすい適性検査を利用することもおすすめです。適性検査ポテクト(当社サービス)は、自己評価と客観評価が分かる適性検査サービスです。

適性検査ポテクトでは、以下のようなメリットがあります。

  • 採用選考で早期離職の可能性が高い人や、入社後に不平不満で組織のモチベーションを低下する人の入社を未然に防ぐことができる。
  • 入社後に自己評価と客観評価のズレを改善することで、早期離職の防止や不平不満によるモチベーション低下を予防することができる。
  • 自己評価と客観評価のズレを把握することで、自分の強みや弱みを知り、キャリア開発やスキルアップに役立てることができる。

適性検査ポテクトは、以下のような仕組みで自己評価と客観評価を分析します。

  • 150問+50問の簡単な選択問題に答えるだけで、50種類の資質(頭脳系、行動系、対人系、精神系)を測定します。
  • 150問は客観評価(他人から見た自分)、50問は自己評価(自分から見た自分)を反映します。
  • 自己評価と客観評価を比較して、確信できる資質(両者が一致)、気づかれにくい資質(自己評価>客観評価)、控えめな資質(自己評価<客観評価)、眠っている資質(両者が低い)を把握します。
  • ジョハリの窓形式で、顕在する資質と内在する資質を分かりやすく表示します。
  • それぞれの資質に対して、その特徴や傾向、強みや弱み、アドバイスなどを提供します。

このように、様々な方法で客観的な視点を取り入れていくことで妥当な自己評価を形成していきます。それにより、自己評価と客観評価のズレが軽減し、コミュニケーションの障害や評価に対する不満の改善につながります。

まとめ

自己評価と客観評価がズレている人は……

早期離職の傾向のリスクがあり、不平不満が多く組織のモチベーションを低下させるリスクもあります。そのため、自己評価と客観評価のズレを知ることが重要です。

自己評価と客観評価のズレが生じる原因は……

自己評価が誤った状態で他人と比較することが原因です。また、ズレに気づく適性検査を活用することもおすすめ。これらの方法を実践することで、自己評価が客観評価に近づき、仕事へのモチベーションや満足度が向上します。

自己評価と客観評価のズレを防ぐ方法

メタ認知能力を高めることが有効です。また、ズレに気づく適性検査を活用することもおすすめ。これらの方法を実践することで、自己評価が客観評価に近づき、仕事へのモチベーションや満足度が向上します。

自己評価と客観評価のズレに注目することで

採用においては、早期離職社員や不平不満社員を入社前の段階で防止できる。入社後においては、早期離職防止や不平不満社員の軽減につながります。

この記事が人材採用や人材育成の参考になれば幸いです。採用や育成でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。