仕事ができる人・できない人とは?
今回は、仕事ができる人・できない人の特徴とその共通点についてお話ししたいと思います。
よく「仕事ができる人」とか「仕事ができない人」と言いますが、どんな特徴や共通点がある人ができる人で、どんな特徴や共通点がある人ができない人なのかと考えてみると、「コミュニケーション力がある」「頭がいい」「行動力がある」など思いつくものの、それはあくまでも経験からくる感覚で、本当にそうなのかと聞かれると「多分ね」とお茶を濁したくなります。
そこで今回は、実施に仕事ができる人の特徴(資質・個性)を統計的に分析した結果を見ながら深く考察してみることにしました。利用した統計データは「適性検査ポテクト」による「資質と仕事での評価の関係性」の分析資料です。ここでの統計数は688人ですが、傾向を掴むための数としては十分といえます。
ここでの統計結果とその考察が、就職活動に悩める若者や、強みや弱みが分からない自分探し中の人、もっと仕事ができるようになりたいと思っている人の参考になれば嬉しいです。
一般的な「仕事ができる人の特徴」とは
統計データで分析する前に、まずは一般的な認識を確認するために、AIに「仕事ができる人の特徴」を聞いてみたところ、以下のような回答がもらえました。
内容を見てもらうと、なるほど、たしかにと思えるものであったが、テンプレート的な回答で特に新しい発見はない印象でした。(AIが出す結果というのは、ネット上に溢れている一般的な情報の総和的なものになるので当然といえば当然)
仕事ができる人の特徴は、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 仕事に対する姿勢や考え方
- スキルや知識
- コミュニケーション能力
仕事に対する姿勢や考え方
- 主体的に動ける
- 責任感がある
- 目標を達成するために努力する
- 失敗を恐れずにチャレンジする
スキルや知識
- 専門的なスキルや知識を持っている
- 幅広い知識や教養を持っている
- 情報収集や分析能力が高い
コミュニケーション能力
- 周囲と円滑にコミュニケーションをとることができる
- 相手の立場に立って考えることができる
- プレゼンテーションや交渉能力が高い
具体的な特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 行動力がある
仕事ができる人は、与えられた仕事をただこなすだけでなく、自ら考え行動して成果を出すことができます。また、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢も大切です。
- リサーチ力があり、学習意欲が高い
仕事で求められるスキルや知識は、常に変化しています。仕事ができる人は、自ら学ぶ姿勢を持ち、常に新しい情報をキャッチアップしています。
- 課題発見力がある
仕事ができる人は、現状を把握し、課題を見つけ出すことができます。また、課題を解決するために、さまざまな方法を検討することができます。
- セルフマネジメント(自己管理)能力が高い
仕事ができる人は、自分の時間やタスクを効率的に管理することができます。また、自分の感情をコントロールすることもできます。
- コミュニケーション能力が高い
仕事は、人と協力して行うものです。仕事ができる人は、周囲と円滑にコミュニケーションをとることができます。また、相手の立場に立って考えることができます。
もちろん、仕事ができる人の特徴は、一概にこのとおりだとは言えません。しかし、これらの特徴を身につけることで、仕事のパフォーマンスを向上させることができるでしょう。
統計データによる「仕事ができる人・できない人の特徴」とは
以下の資料が、適性検査ポテクトが資料にまとめた「仕事ができる人」と「仕事ができない人」の特徴ランキングです。資料では「仕事ができる人=仕事で評価されやすい人」「特徴=資質」という表現になっています。
なお、この適性検査における「仕事ができる人」の定義は、「業種・職種を問わず、仕事で自分がどのように評価されているかを数値化したもの」となります。その項目としては、「顧客からの評価」「会社からの評価」「上司からの評価」「同僚からの評価」「部下からの評価」……etc. と様々な角度からの仕事の評価の総合値になっています。
業種・職種を問わずなので、ある業種・職種では評価されるが、他の業種・職種においては評価されないというケースを見込んでいないことになります。とはいえ、逆にそれを限定して統計してしまったら、一般的な「仕事ができる人」がという今回のテーマに該当しなくなるので、この統計値である方が適切だと思えます。
ひと通り目を通してみると、基本的には「それはそうだ」と思える特徴が並んでいると感じたものの、ところどころで「そうなのか?」と感じる特徴がいくつかありました。なぜそのような結果になったのか考察してみます。
仕事ができる人(仕事で評価されやすい人)のランキング考察
資質上位ランキング(仕事ができる人が保有する特徴)
では、はじめに仕事ができる人(仕事で評価されている人)が保有する特徴から見ていくことにします。
※なお、ここより「です・ます調」ではなく「である調」で書かせてもらいます。
- 自優心 :自分のことを優れていると思う心
- 速解力 :物事の特性を短時間で正しく理解し、判断できる力
- 瞬解力 :求められることを瞬間的に把握し、判断できる力
- 着想力 :物事を解決するためのアイデアを出す力
- 習得力 :学問や技芸を短期間でものにできる力
- 分解力 :物事を様々な視点で分析して理解する力
- 発想力 :周りが驚くような斬新なアイデアを出す力
- 勇気 :困難や危険を恐れない姿勢
- 統率力 :多くの人々をまとめて率いる力
- 自立力 :人に依存せずに自分の考えで意思決定できる力
1位:自優心(自分のことを優れていると思っている)
まず、注目の1位は「自優心(自分のことを優れていると思う心)」となっていて、ちょっと拍子抜けの結果になっている。仕事で成果を出している人は、周りから優秀だと言われるわけなので、本人も自分が優れている人だと認識して当然のことだ。自分のことを優れていると思っているから仕事ができるのではなく、仕事でできるから自分のことを優れていると思うようになったとも思える。卵が先か鶏が先かみたいな統計でよくあるループに陥る。
そうはいっても、そのループが因果関係を証明しているとも言えるわけで、たしかに自分のことを優れていると思っている人が仕事でできる人との関係が大きいのは間違いないだろう。まだ社会に出て仕事をしたことがない学生にしても、学業や部活・サークル、学際実行委員などを通じて、自分が周りと比べて優れているかどうかの評価を周りから受けている。その中で自分が優れていると感じているような人は、仕事での成果が出せるような人だと思える。
事実、職場において、仕事ができる人は、謙虚さはあっても、やはり自分に自信がある人ばかりだと思う。
2位~3位:速解力、瞬解力(頭の回転が速い)
2位、3位は「速解力」「瞬解力」となっている。こちらは、多少ニュアンスは異なるものの「頭の回転の速さ」と言い換えられる。この結果も「そりゃそうだ」との結果だと思う。頭の回転が速い人で仕事ができない人もいるかもしれないが、頭の回転が遅い人がで仕事ができる人というのはなかなか想像できない。もちろん、頭の回転の速さは関係ない仕事もあるだろうし、頭の回転の速さがかえって邪魔になるような仕事もあるだろう。しかし、一般的に「仕事でできる人」とうテーマにおいては、頭の回転が速い人=仕事でできる人と理解していいと思う。
4,7位:着想力、発想力(アイデアを出せる)
4位は「着想力」となっているが、7位にも「発想力」という似たような特徴が入っているのでまとめて考察したい。上記同様に、この特徴(着想力、発想力)を持っている人が必ず仕事ができるとは思わないが、仕事でできる人はアイデアを出せる人か?と問うてみると、それはそうだろうなと思える。
この結果で気になる点としては、「着想力 > 発想力」という順位である。似たような特徴でありながらランキングに差が出た理由はどこにあるだろうか。特徴の解説を読んでみると「着想力:物事を解決するためのアイデアを出す力」「発想力:周りが驚くような斬新なアイデアを出す力」とある。これを読み解くと、着想力は「降り掛かってきた直面する問題に対してアイデアを出して解決できる人」であり、発想力は「問題の有無に関わらず、周りが思いつかないようなユニークなアイデアを出せる人」と捉えることができる。そのような視点で見ると、着想力は「より求められる頻度が多く、実用的な力である」と考えられるので、仕事での成果への寄与度も大きいと思える。そのあたりが着想力が上位になっている所以ではないか。
逆に、発想力については、ゼロ→イチを生み出すような仕事では着想力よりも重視されることもあるだろうと推察される。いずれにしても、アイデアを出せるというのは、現在の複雑化した問題解決型の仕事が多い世の中において重宝される力だと思う。
5位:習得力(学問や技芸を短期間でものにできる)
5位は「習得力」となっている。説明には「学問や技芸を短期間でものにできる力」とあるが、ざっくり言うと「物覚えがいい」といったところか。これについては、仕事内容に問わず所有するほど仕事での評価に直結しやすい特徴であると思う。どんな仕事であっても、最初は指示されたことを覚えて、それをできるようになることが求められる。ここが高い人ほど評価されて当然となるわけだ。その後の応用力までとなるとまた違った資質が必要になるとは思うが、それにしても習得できなければはじまらない。もちろん、新人だけに求められるわけではなく、仕事を長く続けるベテランになってきたとしても習得する力は継続して必要になる。仕事とは常に新しいことを求めら続けるわけなので、この能力が高いほど有利であることは言うまでもない。これまで上位で紹介した特徴に比べてとても汎用性が高く、仕事ができる人の分かりやすい特徴の1つだと思う。
習得力の高さは、2位~3位の「速解力、瞬解力(頭の回転の速さ)」も深く関係しているように思える。頭の回転が早ければ、物事を理解することが早いわけなので、習得する早さにも強く関係してくるだろう。それでも、わざわざ習得力という別の資質(特徴)として分類しているところを鑑みると、頭の回転の早さにプラスして、それを再現できるようになる「器用さ」や「センス」なども含めた特徴として考えられているのだと思う。
6位:分解力(物事を様々な視点で分解して理解できる)
6位は「分解力」なので、ロジックツリー(なぜなぜ分析)が得意な人といったところか。ロジックツリーが得意=ロジカルシンキングが得意となるわけなので、仕事で成果を出す特徴になるのは当然のことか。なお、ランキングには入っていないが、この適性検査には「求明力:原因を追求して明確にすることができる力」とのかなり似た資質もある。なぜ、「分解力」が入って「求明力」が入っていないか想像してみると、上記の着想力と発想力同様に、分解力の方が「より求められる頻度が多く、実用的な力」ということだと思う。求明力の方が、より研究職やアナリストのような専門的な領域で求められる特徴ではないか。とはいえ、「求明力」もランク外とはいえ、11~15位には入っている上位の資質なのだろう。
8位:勇気(困難や危険を恐れない)
8位は「勇気」となっている。これは、特筆すべきこともないが、やはり評価されている人は、チャレンジする人ということだろう。「勇気がある=行動力がある」と考えることもできるので、そう思うとより納得感がある。
9位:統率力(多くの人をまとめて率いることができる)
9位は「統率力」とあるが、こちらも当たり前の結果になる。「統率力がある=リーダー、マネージャー」になるわけなので、そのような役職についている人は、成果を出して評価されているからその役職になっているわけなので至極当然である。なお、似たような資質で「求心力:他人を引きつけ、人々の中心となる力」というものも存在するが、こちらは(おそらく上位だと思うが)ランク外となっている。こちらも、これまで同様に、よりビジネスにおいて具体的な表現と、ややぼんやりとした表現の違いがこのランキングの差になっているのだろう。または、カリスマ的な人よりも、管理できるマネージャー的な人のほうが会社から評価されやすいという考察もできる。
10位:自立心(人に依存せずに、自分の考えで意思決定できる)
10位は「自立心」となっている。自分で考えず、何でも上司の指示がなければ行動できない人よりも、自分で考えて会社の利益のために行動できる人のほうが評価されるはずである。もちろん、指示されたことをきっちりやることもそれなりの評価につながるが、高い評価につなげるには指示されなくてもできることが重要になってくるだろう。
資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)
続いて、仕事ができる人(仕事で評価されている人)が保有しない特徴を見ていくことにする。
- 均衡性 物事や生活のバランスを取ることを重視する性格
- 自衛心 自分の人格が傷つかないように自衛しようとする心(プライド)
- 認望心 人に認められることを望む心
- 責任感 果たすべき務めを遂行しようとする感情
- 世関性 世間の出来事に関心がある性格
- 執着性 自分が納得できるまでこだわる性格
- 改善力 非効率な作業など、無駄なことを改めたい性格
- 同調性 他人が向けてきた感情に自分の感情を重ね合わせられる性格
- 身体性 身体を動かすことを好む性格
- 自制心 周りに流されそうな感情や欲望を抑える心
1位:均衡性(物事や生活のバランスを取ることを重視する)
1位は「均衡性」となっている。バランスを取れる人というのは、評価につながりやすいように思えるが、そうではないようだ。バランスを取れる人とは、裏を返すと「リスクを冒せない人」とも捉えることができるので、大きな成果を出せる(評価される)チャンスを逃してしまう人なのかもしれない。また、資質の説明にあるように「生活のバランスを取る」の部分がこの結果に大きく寄与しているのかもしれない。また、この特徴を持つ人が、仕事よりも生活を重視する傾向が強い人だとすれば、この結果にも納得感が出てくる。会社としては、与えられた仕事の成果にコミットして、それを達成するために注力できる人を評価するであろう。
2位:自衛心(自分が傷つかないように自衛する)
2位は「自衛心」となっている。自分の人格が傷つかないように自衛しようとする心との意味らしいが、ざっくり言うとプライドが高い人とのことらしい。プライドといっても、自尊心ではなくく、自衛心であることがミソのように思える。誇りというよりは、防衛に近いプライドなのだろう。上記でも触れたが、自分が傷つきたくない(失敗したくない)という気持ちが強い人は、大きなチャンスが来ても、リスクと取れずにそれを逃してしまう。つまり、自尊心ではない自衛的な変なプライドは捨てて、果敢にチャレンジした方がいいのだろう。
3位:認望心(人に認められることを望む)
3位は「認望心」とある。認望と入力しようとしても変換では出てこないので、この適性検査独自の造語のようだ。意味としては漢字が示す通りで、認められることを望む人になるようだ。「認められたい=成果を出したい=仕事ができる」とのロジックが成立するような気もするが、そうではないようだ。どちらかといえば、依存気質で「認めてくれない」と考えやすい人がそれに当たるのかもしれない。確かに、仕事で成果を出している人は、自分から認めてほしいとアピールをしないし、自分からアピールする人ほど会社が期待しているほど成果を出していない人が多い気がする。つまり、会社評価に不満を抱きやすい人ということなのかもしれない。そうであれば納得できる。
4位:責任感(果たすべき務めを遂行する)
4位は「責任感」となっていて少し驚いた。責任感というのは、仕事ができる人において重要な特徴だと思っていたからだ。事実、会社に求める人物像を挙げていけば、上位に責任感は来るだろう。ここは興味深いランキングなので、じっくり考察してみたい。
まず単純に「責任感がない人=仕事ができる」とのロジックが成立するとは思えないので、責任感がない人のポジティブな側面を見ていきたい。思いつくのは「リスクを取れる」「慎重になりすぎない」「決断が早い」「細かいことは気にしない」などだろうか。逆に、責任感がある人のネガティブな側面は「規則やルールに縛られて柔軟でない」「行動できない」「ストレスを溜め込む」などありそうだ。他にも挙げていけば色々とありそうだが、これらを踏まえて改めて考えてみると、責任感が強い人が持つ特徴である慎重さや堅実さや内向きな考え方が、仕事で成果を出すことにブレーキをかけてしまうのではないだろうか。
もちろん責任感が必要な場面ではしっかりとそれを守ることがビジネスにおいて重要であることは変わりないが、それが強すぎることでの弊害も多くなるので、適宜の程々の責任感を持つくらいが仕事で成果を出すためには丁度良いのかもしれない。
5位:世関性(世間に関心がある)
5位は「世関性」とある。これも変換できないので、おそらく造語なのだろう。意味としては、世間の出来事に関心がある人となっている。世間に関心がある人というと、流行に敏感であったり、時事の情報収集が好きであったりといった特徴が思いつく。マスコミ系など、一部の業種では重宝しそうに思えるが、一般的な業種で役に立つかと問われると回答に困る。ここでは、仕事ができない人の特徴というより、他の特徴に比べて仕事ができる人にあまり関係がない特徴であるため、結果として「保有しないランキング」の上位に来ていると考えるほうが納得感がある。「仕事ができる人=専門的知識が高い人」と仮定したとき、広く浅い知識を求める人はそれに当てはまらないと考えることもできそうだ。
6位:執着性(納得できるまでこだわる)
6位は「執着性」となっている。これは何に執着しているかによって変わってくるだろう。仕事で結果を出すまでこだわるという分かりやすいものであればいいが、ここでの執着は「気にしすぎる」「無駄なこだわりが強い」「切替ができない」といったところになるのだろう。実際に仕事で成果を出している人は、目標に対する強い意志は感じるものの、気持ちの切替は早いので執着というより執念なのかもしれない。
7位:改善力(非効率な作業など、無駄なことを改めたい)
7位は「改善力」とある。こちらもこの言葉だけを聞くと、仕事ができる人が所有していそうな特徴に思えるので判断が難しいところだ。ただし、仕事で評価されている人=管理者やリーダーという考えだとすると、この改善力を備える人=プレイヤー気質の人が多いと考えることができるのではないか。「無駄なことを改めたい」といった表現には、作り上げるよりも磨き上げるほうが得意な人との印象がある。実際、仕事ができる人が保有する特徴の上位に「発想力・着想力」が入っていたことから、それと反比例しそうな特徴である「改善力」が保有しないランキングの上位に来ていてもおかしくない。
8位:同調性(他人が向けてきた感情に自分の感情を重ね合わせられる)
8位は「同調性」とある。これを共感力に近いものだと考えると、仕事で成果を出す上で欠かせない要素に思える。ただし、わざわざ特殊な言い回しになっているあたり、それと同じように考えないほうがいいだろう。同調する力、相手の感情に重ね合わせられる力との言葉を聞いたときに、自分の考えを持たずに同調ばかりする人、相手の感情に振り回されて自分も悪い影響を受けてしまう人といった印象が浮かんだ。そうだとすれば、それはあまり仕事での成果には繋がらない要素だろう。いずれにしても、改善力同様に、受け身的な印象があり、評価される自発的はクリエイティブさとは反対側の要素なのかもしない。もちろん、職種やサービス内容によっては重要な特徴になるだろうが、分かりやすく仕事で評価される人の特徴であるかと問われると少し考え込んでしまう。
9位:身体性(身体を動かすことを好む)
9位は「身体性」となっているが、こちらは率直に仕事で成果を出している人が特段保有している特徴ではないと思えた。もちろん、身体を動かすことが苦手な人に向いていない仕事は色々とあるだろうが、身体を動かすのが好きなことで、一般的な職種において高い評価を受けることはあまりないだろう。特に、肉体労働よりも頭脳労働が主流となっている現代社会においてそれは顕著だろう。
10位:自制心(周りに流されそうな感情や欲望を抑える心)
10位は「自制心」である。こちらは、低すぎる場合などにはコンプライアンスの問題に発展するような大きな障害になりそうだが、標準的な自制心を備えているのであれば、高くなくていい要素に思える。逆に、自制心が高すぎる人と聞いて、仕事ができる印象は浮かばないだろう。もちろん、少しのミスが許されないような職種によっては、これが高いことが大いに役立つこともあるだろうが、一般職種においては程よい程度が望ましいように思える。
仕事ができない人(仕事で評価されにくい人)のランキング考察
資質上位ランキング(仕事ができない人が保有する特徴)
ここからは、仕事ができない人(仕事で評価されない人)が保有する特徴を見ていきたい。ここでは、先程の資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)と重複する項目がいくつかあるので、その部分については考察を省略されてもらった。
- 自衛心 自分の人格が傷つかないように自衛しようとする心(プライド)
- 細緻性 細かいところまで気になる性格
- 従順性 指導や指示に対して意見せずに受け入れ従う性格
- 認望心 人に認められることを望む心
- 慎重 注意深く、軽々しく判断しない姿勢
- 持続力 同じことをやり続けることができる力
- 執着性 自分が納得できるまでこだわる性格
- 改善力 非効率な作業など、無駄なことを改めたい性格
- 均衡性 物事や生活のバランスを取ることを重視する性格
- 近感性 一般の人と近い感性を持つ性格
1位:自衛心(自分が傷つかないように自衛する)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)の2位を参照。過剰な自衛心(無駄なプライド)は評価に繋がらないということか。
2位:細緻性(細かいところまで気になる)
2位は「細微性」となっている。細かいことを気にしすぎる人は、仕事ができない人ということになる。この特徴を持つ人は、事務適性が高そうな気がするし、契約書関係に関わる場面では重要な資質になるように思える。しかし、職種を問わずと考えたときに、細かいことを気にしすぎることで、行動が遅くなる、決めきれないといった弊害も出てくると考えられる。重要な部分はともかく、些細なことまでこだわりすぎる人は評価されづらいといったところであろうか。
3位:従順性(指導や指示に対して意見せずに受け入れ従う)
3位は「従順性」である。こちらは、企業が求める特徴の上位である「素直」と似ている特徴の気がするが、ニュアンスとしてはもっと自分の意見がない、指示待ちといったところが近いのだろうか。上司などの指示を素直に聞くことは重要だと思うが、自分の考えを持たないとは別の話になってくる。確かに、何でもかんでも上司の指示通りに考えもなしに仕事をしている人が評価されるとは思えない。素直さと自主性とのバランスが大事になってくるのだろう。
4位:認望心(人に認められることを望む)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)の3位を参照。認めて欲しいが強すぎるのは評価に繋がらないということか。
5位:慎重(注意深く、軽々しく判断しない)
5位は「慎重」さ。こちらは、仕事で評価されている人の上位に「勇気」が入っていることを考えると、その反対語と言える慎重さが仕事で評価さえれない特徴に入ってもおかしくない。主体的で積極的な人が評価されやすく、受動的で消極的な(慎重過ぎる)人が評価されにくいのは仕方がない。2位の細微性でも取り上げたが、そういった特徴が重要となる職種もあるが、一般的に評価されづらい特徴にはなってくる。
6位:持続力(同じことをやり続けることができる力)
6位は「持続力」となっている。持続力との言葉を聞くかぎりでは仕事で重要な特徴に聞こえる。しかし、説明文の「同じことをやり続ける力」で考えてみると、色々と考えされられる。ニュアンスとしては、ルーティンワーク、ライン作業といった、単純で繰り返しやることをずっとやれる力が近いのかもしれない。そうだとすると、そういった職種は職場の花形職と比べて評価もされにくいであろう。見方を帰ると、そういった職種適性としては重要な特徴といえることになる。昨今では、同じことを長く続ける力よりも、新たしいことに次々にチャレンジできる力が求められている時代背景もあるだろう。
7位:執着性(自分が納得できるまでこだわる)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)の6位を参照。無駄なこだわりが強すぎるのは評価に繋がらないということか。
8位:改善力(非効率な作業など、無駄なことを改めたい)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)の7位を参照。改善ばかりでなく、新しいことにもチャレンジしていくことが大事ということか。
9位:均衡性(物事や生活のバランスを取ることを重視する)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質下位ランキング(仕事ができる人が保有しない特徴)の1位を参照。バランスばかり取っていないで、やるべきことに注力することが大事ということか。ただし、2位だった瞬解力
10位:近感性(一般の人と近い感性を持つ)
10位は「近感性」となっている。こちらも造語と思えるが、補足説明から一般との人と感性が似ている人は仕事ができない人ほど所有している特徴となる。これをお客様の感性が似ている人と考えると仕事で役に立ちそうな特徴に思える。ただし、みんなと似ている=平凡と考えると、これまでアイデアを出す力やチャレンジできる力などの仕事での成果を紐づいていた要素からは遠いように思える。実際に、頭一つ抜けた成績を残している人を思い受けべてみると、エッジが効いていて平凡な感性の持ち主とは到底思えない。
資質下位ランキング(仕事ができない人が保有しない特徴)
ここからは逆に、仕事ができない人(仕事で評価されない人)が保有しない特徴を見ていきたい。ここでも、前出の資質上位ランキング(仕事ができる人が保有する特徴)と重複する項目がいくつかあるので、その部分については考察を省略されてもらった。
- 統率力 多くの人々をまとめて率いる力
- 主体性 自主的に行動しようとする態度
- 発散力 ストレスを解消できる力
- 柔軟性 1つの考えに固執せずに柔軟に切り替えられる性格
- 速解力 物事の特性を短時間で正しく理解し、判断できる力
- 前向性 考え方を良い方向に進めようとする性格
- 社交性 人との交流を好み、上手に付き合う性格
- 根性 継続的に簡単に屈しない強い精神
- 習得力 学問や技芸を短期間でものにできる力
- 求心力 他人を引きつけ、人々の中心となる力
1位:統率力(多くの人をまとめて率いることができる)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質上位ランキング(仕事ができる人が保有する特徴)の9位を参照。やはり「リーダーになれない人=仕事で評価されていない人=統率力の特徴を持たない人」ということか。
2位:主体性(自主的に行動する)
2位は「主体性」となっている。まず、こちらの特徴が仕事ができる人が保有するランキングで重複しているかと思いきやランキング外となっていたことに驚いた。企業が就活生に求める特徴の上位ランキングに常に入っている印象だったため意外な結果である。ただし、仕事ができない人が保有しないランキングでは2位となっているあたり、やはり仕事の評価において重要な資質であることが分かる。できない人が保有しないで2位にも関わらず、できる人が保有するでランク外であることから考察するに、主体的な人でも評価されないことがあるが、主体的でない人の大半は評価されないということか。確かに、いくら主体的でも空回りしているようでは良い評価になるはずもない。いずれにしても、評価を得るには主体的が重要であることは間違いない。
3位:発散力(ストレスを解消できる)
3位は「発散力」でストレスを解消できる人となっている。裏を返すと、ストレスを解消できない人(解消するのが苦手な人)は、会社から評価されづらいとなる。これは想像するに容易く、仕事やプライベートでの蓄積したストレスを長期間解消できずにいれば、それは当然仕事に対するパフォーマンスが下がることに繋がる。さらに、ストレスを蓄積し続けて爆発して会社に多大な悪影響を与えることなどあれば、企業としては評価を下げざるを得ない。実際に、ストレスを引きずらずに、前向きに切り替えることができる人は会社として扱いやすく、結果として高い評価を受けているように思える。
4位:柔軟性(1つの考えに固執せずに柔軟に切り替えられる)
4位は「柔軟性」となっている。こちらも裏を返すと、柔軟に考えられず偏った考えに固執する人と表現できる。仕事ができる人が保有しない特徴の6位、仕事ができない人が保有する特徴の7位に「執着性」に近いものと考えると腑に落ちる。こだわりが強すぎるもの考えものだ。また、仕事ができる人が保有するランキングには入っていないので、柔軟な人でも評価されないことがあるが、柔軟でない人の大半は評価されないという捉え方もできる。成果が出せず、自分の考え方も変えようとしないのでは、会社が高く評価できるはずもない。
5位:速解力(物事の特性を短時間で正しく理解して判断できる)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質上位ランキング(仕事ができる人が保有する特徴)の2位を参照。こちらは頭の回転が速い人が成果を出せるように、頭の回転が遅い人は成果が出づらいという順当な結果か。ただし、仕事ができる人の資質上位ランキング3位だった瞬解力はここではランク外。似ているようでどこか違うようだ。咄嗟の判断の早さを持っていても仕事で成果が出せない人も多いということか。
6位:前向性(考え方を良い方向に進めようとする)
6位は「前向性」となっている。こちらの特徴も仕事ができる人が保有するランキングで重複しているかと思いきや、そちらではランキング外の結果だった。かなり重要な要素だと思っていただけに意外な結果である。一緒に働く上で前向きな人であるかはとても重要であるが、成果を出せる(評価される)かという基準で見るとそこまで重要な要素にはならないのかもしれない。ただし、ここで6位に入っていることから、前向きでない人は仕事で評価されない人が多いわけなので全体的な評価の中では重要であることに違いない。とはいえ、後ろ向きな人のリスクマネジメント力も重要になってくるので、組織の全員が前向きである必要はないとも思える。
7位:社交性(人との交流を好んで上手に付き合う)
7位は「社交性」となっている。こちらも仕事できる人が保有するランキングには入っていなかった。人見知りや内向的な人でも高いパフォーマンスを出せる人も多く、職種によってはそれほど重要視されない特徴でもあると考えると、それほど不思議な結果でもない。とはいえ、仕事ができない人が保有しないランキングには入っていることから、社交性が低い人は会社から評価されにくいことになる。社交性が高いほど外交的な場面や、組織として働く中で扱いやすいと考えると、これも当然の結果といえる。
8位:根性(継続的に簡単に屈しない)
8位は「根性」で、こちらも仕事できる人が保有するランキングには入っていない。採用時に「根性がある若者が欲しい」との言葉を経営者からよく聞くが、仕事ができる人が欲しいというよりも仕事ができない人はいらないとの意味合いが強いのか。まぁ、すぐに辞めてしまう人が評価されるわけがないので当然といえば当然。また、以前は働けば働くだけ儲かるというバブルの時代には根性がもてはやされたかもしれないが、限られた時間の中で頭を使って成果を出す時代においては、それほど評価されなくなったとも思える。いずれにしても、仕事ができない人が保有していないランクに入っていることから、今の時代においてもある程度の根性は求められていることになる。
9位:習得力(学問や技芸を短期間でものにできる)
※重複項目のため、仕事ができる人の資質上位ランキング(仕事ができる人が保有する特徴)の5位を参照。こちらは保有している人ほど評価されやすく、保有していない人ほど評価されにくいとシンプルに考えて良さそうだ。物覚え良くて効率が良い人ほどパフォーマンスが高くなると考えると当然のことか。
10位:求心力(他人を引きつけて人々の中心となる力)
10位は「求心力」となっている。仕事ができる人の資質上位ランキング(仕事ができる人が保有する特徴)の9位に「統率力」は入っていたが「求心力」は入っていなかった。逆に、仕事ができない人の資質下位ランキング(仕事ができるない人が保有しない特徴)では「求心力」は入ったが「統率力」はランク外となっている。11位や12位にでも入っているのかもしれないが、評価される人と評価されない人で単純にひっくり返した結果にならないことが興味深い。こちらは、統率力と求心力のニュアンスを比較したときに、統率力=管理者能力、求心力=人気者と考えるとその結果も妥当に思える。仕事ができる人が人気者である必要はないが管理者能力は高いほうが良く、仕事で評価を得られない人は管理者能力は必要ないが人気者(チームと上手くやれる)であったほうが良いということか。
まとめ
統計データによるランキングなので、概ね納得できる特徴や共通点だと思えます。ただし、仕事の内容によっては、まったく当てはまらない特徴もあるため、これが絶対とは考えずに一般的な仕事ができる特徴という捉え方に留めておきたいところです。
また、仕事ができる人が保有する/保有しないランキング、仕事ができない人が保有する/保有しないランキングを見比べてみたときに、単純に裏返したような結果になっていないことが興味深いところでした。卵が先か鶏が先かといった話ではないですが、仕事で成果を出せる人だからこそ求められる能力(特徴)、仕事で成果が出せない人だからこそ求められる能力(特徴)があるように考察できます。
この結果を見て「なるほど」で終わらず、自分が評価されている理由や評価されていない理由を自分ごとして考えることが大切になってきます。また、評価されているからこそ更に伸ばすべき特徴、評価されていないからこそ改善する特徴を考えてみるのも良いかもしれません。
この考察が、就職活動に悩める若者や、強みや弱みが分からない自分探し中の大人たちの参考になれば嬉しいです。